よくある遺言書トラブル2
今日は、前回に引き続き、遺言書のトラブルについて実例を見ていきましょう。
●CASE2
Bさんは、生前に自分の看病のために仕事を辞めて毎日通って来てくれていた長女に、唯一の財産である自宅を相続させる旨の公正証書遺言を残してなくなりました。長期間の入院等の出費もあり預金はほとんど残されていませんでした。長男は、入院中も一切顔を出さず、自宅療養中も家に来ることもありませんでした。
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相続発生後、長男は「相続人だから、当然財産をもらえるはずだ」と主張。
長女は、「仕事を辞めて父の介護をしてきたのだし、遺言書があるのだから私が相続するのが当然」と主張。
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遺言書に書かれていなくても、長男には最低の取り分である遺留分があるため、法定相続分の2分の1はもらう権利はある。
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結局、話し合いの結果、長女が遺留分に相当する額を渡す事で決着した。
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このトラブルを避けるにはどうするべきだったのでしょう?
Bさんは、長男には財産を残したくなかったのですが、民法では遺留分が定められているので、それを考慮したうえで分割する財産や割合を遺言書に指定しておくと揉めずに済みます。そして、そのように分けた理由や気持ちを書いておくと、これが公平なんだという事を伝えられると思います。
介護と相続は切り離して考えられない問題です。例えば、上記のように、仕事を辞めて毎日介護に通ってくれた相続人と全く顔も出さなかった相続人が、法定相続分どおりに2分の1ずつに分けることは平等、公平ではないですよね。
介護に携わってくれた相続人には多くの財産を残したいというご相談は数多くあります。
遺留分に考慮しつつ、相続開始後にトラブルにならないよう遺言書の書き方には注意しましょう。
遺言書の書き方でお悩みのときは、お気軽に森下法務事務所へご相談下さいね。