遺言がある場合とない場合の違いとは?
私どもが相続登記手続きのご依頼を頂くときに、「こんな時に遺言書があったら・・・。」と思うことがよくあります。最近、「相続を争族にしないように」というフレーズはよく聞かれるようになりましたが、これは決して大袈裟なことではないんです。
簡単に言うと、遺言書があれば、他の相続人に遺産分割協議書に署名してもらったり、実印を押印してもらわずに、自分の相続させたい人に財産を遺せます。
例えば夫が亡くなり、相続財産はご自宅の土地と建物。子どももがいない場合(両親も他界している場合)、遺言書がないとどうなるでしょう。
相続人は、妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹の中には既に亡くなっている方がいる場合は、その子ども達が相続人になります。
相続人調査をしたところ、法定相続人は20人もいることがわかりました。
ご自宅の土地と建物を妻の名義にするには、遺産分割協議書に相続人全員から署名と捺印(実印)をもらわなければなりません。
ここでポイントは、「相続人全員」です。
相続人全員がすぐに連絡がつくとは限りません。疎遠で連絡先がわからない。海外にいる人もいれば、行方不明の方がいる場合もあります。
連絡先はわかるものの、妻が夫の兄弟姉妹と仲がいいとは限らないので、連絡をして、相続財産を妻名義にする遺産分割協議書に署名捺印をもらいにくいという事もあります。
また、連絡してみたところ、土地と建物を妻名義にするのを拒否され、持分を主張されることもあるかもしれません。
このように、「相続人全員」から署名捺印をもらうという事は、大きな負担となるのです。
このような子どものいない夫婦の場合、夫が生前に「妻〇〇〇〇に全財産を相続させる」と遺言書に書いておけば、妻は全財産を誰に遠慮することなく相続できるのです。
遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。
遺された者の幸福のために、遺言は元気なうちにしっかりと書いておきましょう!
さて、遺言は書いておきたいと思ったものの、一人で遺言を書き出すのは難しいと思います。自筆証書遺言にするか?公正証書遺言にするか?形式は?
そんな時は、お気軽に森下法務事務所にご連絡下さい。文案も一緒に考えましょう!