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遺言書の訂正&取り消し

今日は、遺言書についてお話しします。

 

 

 

遺言書を書いた後に気が変わった場合、遺言書は何度でも書き直す事ができます。

 

 

自筆証書遺言の訂正方法は、民法968条2項で下記のように定められています。

 

『自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれを署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない』

 

 

どんな事を言っているかというと、

 

  1. 遺言者自身が訂正する。
  2. 変更の場所を指示して、変更したことを付記する。
  3. 付記した部分に署名する。
  4. 変更した場所に押印する。
  5. そうしないと訂正したことになりませんよ。

 

訂正したいところを二本線で消し、押印し、訂正する文字を書き込んで署名する。

 

 

余白部分に変更の場所を書き、行数や文字を書いて、変更する場所を指示し、変更した旨を書く。そして、付記した場所に署名する。

 

例えば、こんな感じです。

 

 本遺言書10行目「普通」を「定期」に訂正した。

 本遺言書15行目「横浜」を削除した。

            署名 〇〇 〇〇

 

これらを守らずになされた加除訂正は効力を生じない。つまり無効になります!

遺言書の訂正って難しいですね!!

間違えてしまった場合は、書き直した方がいいですね。

 

 

遺言書を作成した後に気が変わり、書き込んだ内容を取り消したい場合は、作成済みの遺言書を破棄し、新たに別の遺言書を作成しましょう。

新しい遺言書には、

「〇年〇月〇日付けで作成した遺言書を次のとおり変更します」

の文言を書き、変更後の内容を記載します。

 

 

新たに作成せずに遺言書に加筆や訂正するときは、民法の規定に注意しましょう。

 

 

さて、遺言の取り消しについて、こんな裁判例があります。

 

 

 

 

平成14年5月に死亡した広島市の男性Aさんは、16年前に『財産の大半を長男に残す』という内容の遺言を1枚の用紙に書き残していました。

 

 

自筆証書遺言の条件である「全文自書」「作成年月日の記載」「氏名の記載」「押印」をきちんと満たしたものでした。

 

 

但し、ご遺族の長男と長女がその遺言を発見したときには、文面全体の左上から右下にかけて赤色ボールペンで1本の斜線が引かれていました。

 

 

長女は、Aさんが斜線で遺言を取り消したと主張。

これに対して長男は、斜線があっても遺言に書かれた文字は判読できる状態であり、Aさんに遺言書を破棄する意思はなかったと反論しました。

 

 

裁判では1審2審ともに遺言内容を有効と判断しました。

 

 

しかし、平成27年11月最高裁第2小法廷は、

「その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当」と判断し、1審2審の判決を覆しました。

 

 

このように、せっかく書いた遺言書で相続が争族にならないように、遺言書を書いた後に気が変わって内容を変更したい場合、森下法務事務所にご相談下さいね。

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