遺言の効力 ~遺言書作成後に推定相続人が死亡した場合~
今日は遺言の効力のお話しです。
「不動産1を長男に相続させる。不動産2を二男に相続させる。
預貯金を長女に相続させる」という遺言があります。
遺言者が亡くなる前に、二男が亡くなった場合は遺言の効力はどうなるのでしょう?
遺言者は、二男が亡くなった場合は二男の長男に相続させたかったのですが、遺言書にはその記載はありません。
判例では、相続人が遺言者より先に死亡した場合は、代襲相続人に当該遺産を代襲相続させる旨の記載がない限り、原則として遺言は失効するものとしています。
例外的に、当該遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況等を考慮して遺言を合理的に意思解釈した上、遺言者の意思が当該相続人が先に死亡した場合、当該遺産を代襲相続人に相続させるというものであったと認められるような特段の事情がある場合に限って、代襲相続は認められます。
(最判平成23年2月22日判時2108・52)
つまり、特別な事情がない限り、「不動産2を二男に相続させる」という部分の遺言の効力は無効となり、不動産2については、相続人全員で遺産分割協議となります。
以上のようにリスクがあるので、遺産を相続させる推定相続人が死亡した場合にその相続人の子に取得させたい場合には、『当該相続人が遺言者より先に死亡した場合は、その代襲相続人に当該遺産を代襲相続させる』と記載しましょう!