遺言と意思能力
今日は遺言についてお話しします。
【Q】
亡くなった父の遺言書が見つかりました。 そこには「全財産を長男○○○○に相続させる」と書いてあります。
でもその日付を見ると、父の認知症が進んでいて、息子や娘の顔も わからない状態だったはずで、そんな時期に遺言書なんて残すはずがない! 長男が故意に書かせたとは思いたくないが、この遺言書は有効でしょうか?
【A】
民法では、遺言をする時に意思能力がなければならないと定めています。自分の行為の結果を理解し、判断できる能力が必要です。
つまり、遺言を作成するときに、本人の判断能力がなければ無効となります。24時間認知症の状態で正常に戻ることが全くなかったのなら、この遺言書は無効になります。時々正常に戻っていて、その正常な時期に書いた遺言書なら有効です。
問題は、その能力の回復を証明できるかどうかですね。
民法では、認知証の高齢者が事理を弁識する能力を一時的に回復して、遺言を残す場合は、医師2人以上の立会が必要だと定めています。後に遺言の効力について争いにならないよう、遺言者の意思能力についても注意しましょう!
では、また!
<参考条文>民法963条、973条