遺言書の日付
今日も前回に引き続き遺言のお話です。
【Q】
亡くなった母の遺言書が2通が見つかりました。
1通は「全財産を長男に相続させる」と書かれた公正証書遺言、もう1通は「次男と三男に2分の1ずつ相続させる」と書かれた自筆証書遺言でした。長男は「公正証書遺言が正しいに決まっている!」と言っています。
内容が全く違う遺言書。どちらの遺言書を信じたらいいのでしょう?
【A】
1通が公正証書遺言で、もう1通が自筆証書遺言だと、公正証書遺言の内容の方が有効なのではと思うかもしれませんが、その判断は日付でなされます。
遺言書は何通でも書く事ができます。
1通目と2通目で内容が食い違っていたり、矛盾したりしている場合は、後に書いた遺言が有効となります。
これは、民法では、遺言書を書いた後に、本人の気が変わる事も想定していて、遺言の内容が取り消されたとみなされるためです。
だから、遺言書には必ずそれを作成した「日付」を書かなければならないのです。
以前に書かれた遺言の内容が全て取り消されるわけではなく、内容が矛盾しない部分は、どちらも有効になります。
上記のケースだと、内容が全く異なるので、遺言書の日付で判断する事になり、後に書かれた遺言が自筆遺言証書であれば、たとえ先に書かれた遺言が公正証書遺言だったとしても、内容を取り消したとみなされ、自筆証書遺言が有効となります。
遺言書の日付はとても重要なんです!
では、また。
<参考条文>民法967条、1023条1項