金融機関の合併・会社分割・商号変更・本店移転と(根)抵当権抹消登記
住宅ローン等のお借入を完済した場合、不動産に設定していた(根)抵当権登記は自動的には消えず、抹消登記を申請する必要があります。
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この場合、抵当権設定登記後ご完済までの間に、金融機関が合併・会社分割・商号変更・本店移転など様々な変更を行っており現状と登記が合致していないことがあります。
単に商号変更や本店移転をしているのみの場合は、会社法人等番号や変更の履歴が確認できる登記事項証明書の添付により、変更登記をすることなく抹消登記を申請することができます。
しかし、別会社に合併していたり、会社分割をして当該債権を承継会社に引き継がせたりしている場合には、抹消登記の前提として抵当権移転登記を申請する必要があります。 (根抵当権の場合は、会社分割によって当然に分割会社と承継会社の共有になるので、根抵当権の一部移転登記をすることになります。)
例えば、現在の三菱UFJ銀行は先日、三菱東京UFJ銀行から商号変更をしましたが、この変更登記は不要です。しかし、旧三和銀行名義で抵当権が設定されている場合は、その後平成14年に旧ユーエフジェイ銀行に合併した後、さらに平成18年に三菱東京UFJ銀行に合併しているため、合併による抵当権移転登記が必要です。
同様に、現在の三井住友銀行の場合、旧わかしお銀行からの変更登記は不要ですが、旧住友銀行や旧さくら銀行などは合併による抵当権移転登記が必要ですし、現在のみずほ銀行の場合、旧富士銀行や旧みずほコーポレート銀行からの変更登記は不要ですが、旧第一勧業銀行や旧日本興行銀行などは合併による抵当権移転登記が必要です。
ただし、根抵当権の場合に、会社分割登記が不要になるパターンについての先例等も出ている場合があるので注意しましょう。
以上のように、金融機関の変遷は非常に複雑であることが多いため、事前に専門家にご相談することをお勧めします。