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相続分は放棄できる?遺留分は放棄できる?

【Q】

私には3人の子がいます。夫は他界しています。長男は起業しては失敗し、その都度借金の尻拭いを私がしてきました。不動産を処分して返済しなければならないこともありました。

 

私の相続の時には、長男以外の2人の子に遺産を残したいと思っています。

長男の相続分を放棄させる方法はあるのでしょうか?

何かいい方法はありませんか?

 

 

 

【A】

あなたが亡くなった場合、3人のお子様が相続人になります。長男に相続させないように、相続分を放棄させたいようですが、現在の民法では、相続分の事前放棄、被相続人が亡くなる前に、将来の相続人の「相続分を放棄」させるという手続きはありません。

 

この場合、「遺留分の放棄」という方法により、長男さんに相続させないという方法はあります。

 

養子縁組によって実の親との間の親子関係が消えてしまうわけではありません。

 

 

 

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいい、相続が開始した時に一定の割合を確保できる地位のことを遺留分権利者といいます。

 

具体的には、本件のケースでは、例えば、被相続人であるあなたが、長男以外のお子様2人に遺産を相続させ、長男には一切の相続をさせない旨の遺言を作成した場合、長男に一定の割合を相続させるための制度です(長男に遺留分があります)。

 

この遺留分は、相続開始後1年以内にその権利を行使すること(遺留分減殺請求)が必要です。この権利を行使しなければ、時効により消滅します。

この遺留分を事前放棄することは認められています(民法1043条)。

 

遺留分の相続開始前の放棄は認められていますが、家庭裁判所の許可が必要です。 これは、被相続人や他の相続人が、威圧する等して遺留分放棄を強要すること等が考えられるためです。

 

本件の場合は、あなたが長男以外の2人のお子様に遺産を相続させる旨の遺言を作成し、長男が遺留分を事前に放棄する旨の申立を家庭裁判所に行い、裁判所がこれを許可すれば、あなたの遺産を長男を除く2人のお子様が相続することが可能になります。

 

家庭裁判所は、放棄するという者の放棄の意思を確認するだけではなく、放棄が客観的かつ合理的に妥当なものかどうかについて、諸般の事情を慎重に考慮検討して判断することになります。

 

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