空き家は負の財産?No.2
前回のブログでは、空き家でどんな問題が起こっているのか、空家等対策の推進に関する特別措置法についてお話ししました。
今日は、空き家問題の事例と解決方法を具体的に見てみましょう。
●CASE 1
実家の隣地の所有者から売却を持ちかけられています。亡くなった祖父名義のままになっているのでどうしたらよいでしょう?
亡くなった人名義のままでは売却(売買による所有権移転登記)はできません。まず現在の所有者を確定しなければなりません。相続人全員で遺産分割協議をして、相続登記をしましょう。
●CASE 2
実家の親が入院し、退院の見込みがなく空き家になっています。実家が遠方のため定期的な管理もできません。今後メンテナンス費用や実家を解体する場合は取り壊し費用がかかるのでどうしたらよいでしょう?
司法書士は、平成14年の司法書士法改正により、財産管理業務が行うことができるようになりました。ご実家の維持管理のための工事手配、ご売却についても代理もしくは補助することができます。
●CASE 3
空き家を相続しましたが、売却をして金銭に変えたいのですが他の相続人が応じません。このままでは管理費用もかかりますしどうしたらいいでしょう?
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。遺産分割調停では、家事審判官と調停委員が双方の事情を聴き、双方の合意を目指します。
尚、遺産分割調停をしても遺産分割協議が合意できなかった場合は、遺産分割審判に移行し、家庭裁判所が遺産分割方法を定めることになります。
●CASE 4
遠方にいる親が施設に入り実家が空き家になってしまいました。どうしたらいいでしょう?
親の代わりにご実家を管理したり、ご売却できるようにするには成年後見の申立が必要です。遠方でご実家の管理やご売却が難しい場合は、司法書士は財産管理業務を行う事ができます。
●CASE 5
20年前に両親が亡くなり、兄と実家を相続し、5年前から空き家になっています。兄とは音信普通で連絡が取れません。行政から空き家の取り壊すよう勧告され、これからどうすればいいでしょう?
家庭裁判所に不在者財産管理人の申立をしましょう。 通常、遺産分割協議は相続人全員で協議を行いますが、このケースのように相続人である一人が行方不明で連絡がつかない場合、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加できるのが不在者財産管理人です。
●CASE 6
10年前から隣家が空き家です。倒壊等で自宅に危害が加えられそうな状況となっています。 市に対して対応してくれるように要望したものの何もしてくれない状況が続いています。
所有権には第三者からの侵害や侵害のおそれを排除するための権利が認められています。これを妨害排除請求権、妨害予防請求権といいいます。つまり、近隣住民は損害賠償請求権を持っているということです。空き家の所有者が隣家の請求に応じない場合は、妨害排除請求訴訟ができます。
判決が下されても放置した場合は、代替執行という形で隣家の方が所有者に代わって空き家の撤去や防止工事を行う事ができ、その費用を所有者に請求することになります。(こちらの業務については、森下法務事務所では行っていないので、弁護士をご紹介致します。)
空き家に関して困った事がありましたら、森下法務事務所へご相談下さい。