空き家は負の財産?No.1
最近、空き家に関して相談が多く寄せられるようになりました。
例えば、
〇隣の空き家が所有者も分からず放置されたままになっていて物騒。
〇空き家を相続したけど古くて売れないし、解体費用も高くてそのままになっている。
〇相続人の中に認知症の人がいて遺産分割協議書ができないまま空き家になっている。
そこで、全国的に増えた空き家問題対策のため、平成27年2月26日「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、国は本格的に空き家対策に向けて本格的に動き出しました。
「住宅・土地統計調査結果」(平成25年総務省統計局)によると、全国の総住宅数6063万戸のうち空き家は820万戸で、空き家率はなんと13.5%と過去最高に達しています。
7,8軒のうち1軒が空き家ということになります!
その中でも、定期的な管理がされていないとされる一戸建ての空き家が毎年10万戸程度増加しているとみられます。
空き家を放置するとどんな問題が起こるでしょう?
〇防災性の低下(建物倒壊、放火による延焼)
〇防犯性の低下(不法侵入、犯罪に用いられる、成りすまし犯により勝手に売却)
〇不法投棄(ごみ、危険物等)
〇衛生上の悪化(悪臭、虫害、動物の侵入)
〇景観の悪化(落書き、樹木の越境、落ち葉や雑草)
空き家を放置するとどんなリスクがあるでしょう?
〇前述の問題から生まれた弊害に対する賠償責任
〇固定資産税やマンションの管理費等の負担
〇補修などの維持費の負担
〇建物解体費用の負担
放置すればするほど、リクスは高くなり、負担は増えていきます・・・。
次のいずれかの状態にあると認められる空家等を「特定空家等」といいます。
①著しく保安上危険となるおそれがある状態
例)建築物に著しい傾斜がある場合
②著しく衛生上有害となるおそれがある状態
例)ゴミの放置、不法投棄、多数のねずみ、はえ、蚊等が発生し、
地域住民の日常生活に支障を及ぼしている場合
③著しく景観を損なっている状態
例)景観法に基づく景観計画に定める制限に著しく適合しない状態となっている場合
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
例)立木の枝が近隣の道路にはみ出し、歩行者の通行を妨げている場合
では、「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって、何が変わったのでしょうか?
1.空き家の持ち主の責任が重くなりました
これまでも空き家の持ち主には空き家で事故などがあった場合の責任がありましたが、今後は「空家等」の持ち主には、適切な管理をする責務が法に明記されました。
2.行政も関与できることになりました!
これまでも行政は個人の所有物については、原則として口に出せなかったのですが、今後は「特定空家等」の持ち主に対し、行政が修繕・撤去の指導・勧告・命令ができるようになりました。
もし、命令に従わず放置した場合は、行政が強制的に撤去し、後にその費用を持ち主に請求することができるようになりました。
3.空き家にしておくことは得じゃない!
これまでは土地の上に、どんなボロボロの空き家でも、住宅が建っていることにより固定資産税などの軽減措置が受けられましたが、今後「特定空家等」は、場合によっては軽減措置の対象外になります。
つまり、持ち主としては、『ボロ家で使い道がないけど、税金も安いし、解体にお金がかかるから放置しておこう』では済まなくなり、『ボロ家を放置すると、行政から指導や命令を受け、従わないと、税金が高くなったり、最悪の場合は解体費用を請求されることもある』に変わり、『何とかしておかないと子の代まで迷惑をかけることになるかもしれない・・・。』ということを頭に入れておかなくてはならなくなったということです!
次回は、空き家問題の具体的な事例についてお話しします。