担保権における配当の優劣関係
さて、本日は、司法書士受験生であれば、皆様知っていることかと思いますが、抵当権者と他の債権者との配当における優劣について、簡単にご説明いたします。
まずは無担保債権者との優劣についてですが、こちらは皆さまよくご存じのように、抵当権者は対抗要件としての登記を備えていれば、無担保の一般債権者に常に優先いたします。次に抵当権者相互間の優劣についてですが、抵当権の対抗要件である登記の先後によって、抵当権者間の優先順位が決まり、抵当権者が同順位の場合は、債権額に案分した配当となります。
そして、不動産質権者と抵当権者との優劣は、それぞれの対抗要件である登記の順位によることになります。
最後に国税等と抵当権の優劣についてですが、法律により国税等を納付すべき期限の到来時期と抵当権の設定時期との先後で優劣が決まります。抵当権設定者が抵当権の設定時以前に国税等を滞納していた場合には、登記簿上に記載がないにもかかわらず、抵当権に優先してしまいます。そのため、抵当権設定を受けていても、もし、抵当権設定者に国税等の滞納があると、抵当権者は、抵当不動産の売却代金から最先順位で優先弁済を受けられるとは限らなくなります。
以上、特に国税等との関係についてご注意いただければ、と思います。
なお、上記はあくまで一般論となります。ご了承ください。
(参照条文 民361条・民373条・国税徴収法16条)