相続人廃除とは? ~あいつには遺産を渡さない~
今日は、相続人廃除についてお話しします。
特定の相続人に相続させたくないという場合、その相続人の相続権を奪うことができます。それを「相続人廃除」と言います。
廃除する対象となるのは、「遺留分を有する推定相続人」です。遺留分のない兄弟姉妹は、廃除の対象とはなりません。兄弟姉妹に相続させたくない場合は、遺言で相続させないことができるので廃除の対象となっていないんです。
相続人の廃除には、生前に家庭裁判所に申立をする方法(生前廃除)と遺言で特定の相続人を廃除したいと意思を書いておく方法(遺言廃除)があります。
遺言に書けば相続人の廃除ができるのではなく、被相続人が亡くなった後に遺言執行者が家庭裁判所に申立をする事になります。でも、「親のいうことを聞かないから」「性格が合わないから」「ケンカしたから」などの理由では認められません。
被相続人に対して虐待、重大な侮辱、著しい非行などを行っていた場合に限られます。
「著しい非行」は、わかりにくいので、著しい非行と認められた判例を見てみましょう。
●推定相続人(長男)が借金を重ね、被相続人(父親)に2000万円以上を返済させたり、債権者が被相続人宅に押しかけるといった事態により、被相続人を約20年間にわたり経済的、精神的に苦しめてきた事案
(神戸家庭裁判所伊丹支部平成20年10月17日審判)
●被相続人が70歳を超えた高齢であり、介護が必要な状態であったにもかかわらず、被相続人の介護を妻に任せたまま出奔した上、父から相続した田畑を被相続人や親族らに知らせないまま売却し、妻との離婚後、被相続人や子らに自らの所在を明らかにせず、扶養料も全く支払わなかった事案
(福島家庭裁判所平成19年10月31日審判)
廃除の調停が成立し、又は審判が確定すると被廃除者である相続人は直ちに相続権を失います。
相続人廃除が認められても、後に取り消す事はできます。