親が認知症になった場合
ご相談内容
今回の相談者Aさんのお母様は、数年前に認知症と診断され、現在は施設で暮らしています。
お母様のご様子をうかがったところ、日用品の買い物などの行為も困難であり、施設に入る前はお子様が介護をしていたのですが、その頃からお子様のこともよく分からなくなってしまっているとのことでした。
また、施設にかかる費用などを捻出するため、空き家となっているお母様所有の不動産を売却し、介護費用に充当したいと考えています。
このような場合、どのような手続を取る必要があるのでしょうか、とのご相談を受けました。
事務所の対応
まず、お母様のご様子からご自分の財産管理などをすることが困難であること、近いうちに不動産を売却したいとのご要望があることから、成年後見開始の申立をすることになりました。
後見開始の申立は、家庭裁判所に対して行います。その際、様々な書類を提出しなければなりませんし、後見人の候補者をどうするかも考えなければなりません。後見人候補者は、ご家族でもいいですし、ご家族の中に候補者がいない場合は、弁護士・司法書士など専門職の方を希望することもできます。ただ、ご家族を希望していても家庭裁判所の判断で専門職の後見人がつくこともあります。
家庭裁判所に提出する書類は、申立書、本人(被後見人となる人)の住民票・戸籍、診断書、本人の状況照会書、後見人の照会書、後見人候補者の照会書、登記されていないことの証明書、親族の同意書など多岐にわたりますが、最も大変なのが財産目録を作成することです。
財産目録は、本人の1年間の収支を報告する書類ですので、お母様の収入・支出をうかがい、通帳や施設の費用などの領収書を1年分持ってきてもらい、主に支出について、どのような費用を支出しているのかをうかがいました。おおよそ1年分の収支が判明したところで、財産目録を作成し、他の書類とあわせて家庭裁判所に提出しました。
なお、今回のケースでは、後見開始の審判がなされた後、居住用不動産の売却許可の申立もすることになります。
後見開始の申立に必要な書類については、家庭裁判所のホームページにも載っていますので、ご参考になさって下さい。