商業登記簿の役員の氏名が間違って登記されているのですが、どうすれば…?
ご相談内容
有限会社の取締役であるXさんからのご依頼。役所の窓口に新しい事業の営業許可申請を提出しようとしたところ、取締役であるXさんの商業登記簿上の氏名の文字が一文字、住民票や戸籍の表記と異なるため、人物の同一性が確認できず、許可が出せない、ということでした。
具体的には、仮名の「い」と「ゐ」、「え」と「ゑ」の違いのようなもので、確かにこれらの文字は違う字ではあります(「ゐ」、「ゑ」はワ行の文字)。
ただ、有限会社の登記簿では、取締役の住所と名前はセットで登記されるため、人物の特定性については問題ないような気もしますよね。
とはいえ、許可申請を受けてもらえないのでは事業が始められませんし、今後のこともあるので、これを住民票や戸籍と同じ字に統一したいとのことでした。
事務所の対応
戸籍や住民票から判断するに、登記が入った段階ではすでに戸籍や住民票の文字は、通常の仮名遣いになっており、本人の認識も、特にこだわりはないけれど、住民票上の文字で認識していたということでしたので、「更正」の登記を入れることにしました。
更正は、登記を入れた当初から誤っていたのでそれを正しい表記に直す、という意味合いの登記です。
まとめ
有限会社や合同会社では、役員に任期の縛りがなく、登記事項に特に変更がなければ、登記申請自体を何年もしないということもありえます。したがって、たとえ誤りがあったとしても、ご本人がさほど気にしていないことであれば見つけにくいということもあります。
今回のように、変更したということではなく、最初から誤っていたということになるとなおさらですよね。
しかし、最初から表記が誤っていたというわけではなく、途中から変更されたという場合には、変更の登記を申請することが必要となり、これを怠ると過料による制裁が科されます。
住所や氏名に変更があった場合には、2週間以内に変更登記を申請することが法律上義務付けられていますので、怠りなくやっておきましょう。