権利証を紛失した場合 2018/08/02

不動産を取得した場合、従前は権利証、現在は登記識別情報通知が発行されます。

 

その不動産を後日、売却したり、抵当権などの担保を設定する場合、
その権利証・登記識別情報通知が必要になります。

 

しかし、権利証・登記識別情報通知が発行されてから相当の年月が経っていたりして、どこに保管したのか分からなくなってしまったという場合がしばしばあります。

 

このような場合、どのように登記をすればよいのでしょうか。

 

権利証・登記識別情報通知を紛失した場合でも、登記自体はすることができます。その場合、大きく分けて2つの方法があります。

 

①事前通知 (不動産登記法23条1項)

 

権利証・登記識別情報通知の提出がないまま登記を申請した場合、法務局から登記義務者(その登記を申請することにより直接不利益を被る人、売買でいえば売主にあたります)に対し、登記が申請された旨の通知が発送されます。受け取った登記義務者は、申請内容が真実である旨の申出をします。

 

ただし、この申出は、法務局から「通知が発送されてから」2週間以内にしなければなりません。通知が届いてからではないので、この方法を選択した場合、登記義務者の迅速な対応が必要になります。その代わり、以下②の方法でも述べますが、費用はかかりません。

 

②本人確認情報 (不動産登記法23条4項)

 

①以外の方法として、司法書士・公証人が作成する本人確認情報を提供するという方法があります。こちらは、司法書士・公証人が実際に登記義務者本人と面談をし、登記義務者であることを確認して作成する文書です。

 

こちらの方法は費用がかかります。司法書士が作成する場合、ケースにもよりますが、5~10万円程度は費用がかかります。また、本人確認をする際、登記義務者本人であることを確認する資料が通常より多く必要になります。ただ、①を選択するよりは、登記義務者本人の手間や精神的不安は少ないのではないかと思います。

 

ちなみに、公証人が作成する本人確認情報については、面談した人物と登記義務者が同一であることの確認までの義務はないという東京地裁の判断が今年なされたようです。ただ、当該案件については控訴中であるそうなので、今後の判断が待たれるところです。

 

【前住所通知】(不動産登記法23条2項)

また、権利証・登記識別情報通知の提供がない場合で、かつ、登記義務者の住所変更登記を申請している場合、登記簿上の住所(前住所)に対して、法務局から登記が申請された旨の通知がなされます。
ただし、以下の場合にはこの通知はされません(不動産登記規則71条2項)。

 

①住所変更の原因が、行政区画の変更等である場合 (すなわち、登記義務者の都合による変更ではない場合)

②住所変更登記の受付日が、3か月より前である場合

③登記義務者が法人である場合

④本人確認情報の提供があった場合で、その内容により登記義務者であることが確実であると認められた場合

 

これらの規定が何のためにあるのかというと、なりすましを防止するためにあります。

 

このように、権利証・登記識別情報通知を紛失しても登記申請は可能ですが、上記のような手間と費用がかかりますので、紛失しないようにくれぐれもお気をつけ下さい。

 

また、権利証・登記識別情報通知を紛失した場合も、登記をする方法はありますので、ご相談下さい。

森下法務事務所