相続人の一人が行方不明の場合の遺産分割協議 2018/05/07

今日は、相続人の一人が行方不明の場合の遺産分割協議についてお話しします。

 

遺産分割協議は、相続人全員で行わなければならないのですが、相続人の一人が行方不明の場合は、遺産分割協議を進める事ができません。

 

この場合の対処方法としては、下記の2つがあります。

 

1.行方不明者を「生存」しているとする場合

家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立をして、選任された財産管理人と他の相続人との間で遺産分割協議をする。

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 この行方不明の相続人を「不在者」といい、「不在者財産管理人制度」を利用する方法

 

2.行方不明者について失踪宣告を受けて「死亡」したものとみなす場合

生死不明の行方不明者について、家庭裁判所に失踪宣告の審判申立をして、失踪者の相続人が遺産分割協議をする。

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 この行方不明者を「失踪者」といい、「失踪宣告制度」を利用する方法

 

 

まず、不在者財産管理人制度についてお話しします。

 

相続人の1人である不在者が行方不明の場合は、利害関係人(例えば、他の相続人が利害関係人になります)等が、家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の申立を行います。これに基づき、家庭裁判所は不在者財産管理人の選任をします。

 

財産管理人が選任された後、その管理人と他の相続人との間で遺産分割協議を行います。

遺産分割は、保存行為、利用行為、改良行為ではないため、財産管理人が遺産分割協議を行うためには、家庭裁判所の許可が必要になります。

 

具体的には、不在者財産管理人が遺産分割協議書を審判申立書に添付して許可の申立をすることになります。この場合、家庭裁判所は、原則として、不在者の取得分として法定相続分額を確保できることを許可の条件とするので注意しましょう。

将来的に不在者の相続分について、他の相続人が相続することになる場合は、普通失踪の申立が必要になる点にも注意が必要です。

 

 

次に、失踪宣告制度についてお話しします。

 

失踪宣告には、「普通失踪」と「特別失踪」があります。

 

普通失踪は、不在者の生死が7年間明らかでないときに、利害関係人(例えば、他の相続人が利害関係人になります)の請求により、家庭裁判所が失踪宣告をなし、失踪期間(7年間)の満了時に、死亡したとみなされるものです。

 

特別失踪は、戦地や沈没した船舶など死亡の原因となる危難に遭遇した者の生死が、戦争が終了した後、船舶の沈没した後、その他危難が去った後1年間明らかではないときに、利害関係人の請求により、家庭裁判所が失踪宣告を行い、危難の去った時に死亡したとみなされるものです。

 

家庭裁判所は、失踪宣告の審判をするには、公告期間として、普通失踪の場合には3か月以上、特別失踪の場合は1か月以上の期間を要するので、遺産分割協議を早く進める事ができないというデメリットがあるので注意しましょう。

 

失踪宣告の審判確定すると、その失踪者は死亡したとみなされるため、失踪者の相続人が失踪者に代わって遺産分割協議を行うことになります。

被相続族人より前に失踪者が死亡したとみなされる場合は、代襲相続人(失踪者の子)が遺産分割協議を行う事になります。

 

このように、どちらの制度を選択するにしても、通常よりも遺産分割協議に時間がかかります。遺言書があれば上記の申立も不要になるので、相続人の中に不在者がいる場合は、生前に遺言書を作成しておく事をお勧めします。

 

ご不明な点は、お気軽に森下法務事務所へご相談下さい。

 

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